2008/02/12

作り手本位のデザイン

建物(集合住宅)で言えば、うなぎの寝床なのも、収納が少ないのも、(RC造なのに)上の住戸の音が筒抜けなのも、作り手本位と言える。ここでの作り手とは、施主やオーナーも含む。確かに(全ての住戸を南面させた上で)貸付面積や住戸数を最大化させようと思えば、うなぎの寝床みたいな住戸割が最適である。狭い平面をなるべく居室に割り当てるには、収納や水周りはコンパクトな方がよい。また建設費を安く抑えるために、床スラブや壁は薄いほうが良い。全て作り手本位の原理だ(日本の家賃が高いという側面もあるが)。その結果使い勝手はないがしろにされてきた。建築だけの話ではない。あらゆる製品も然り。
本来、デザインとは使い手本位であるはずだ。使い手が感嘆するような配慮がされているものこそ優れたデザインだと僕は思う。